自分の最後の歯を金庫にしまっている祖父の話

私の祖父は、自分の最後の歯を大事そうに金庫にしまっています。今は総入れ歯になっているので、自分の体の一部であった歯が名残惜しいのでしょうか。私はまだ20代ですから当然全ての歯が自分のものですし、入れ歯や差し歯はひとつもありません。だから祖父の気持ちがわからない部分あるんでしょうけれど、いざ自分の歯を虫歯などで抜くとなると、それが最後の歯じゃなくてもちょっと嫌な気分になりますね。歯ではなくて例えば髪の毛などであっても、それはやはり同じように感じます。金庫にしまうほどか?と思う部分もありますが、金庫は自分や家族にとって大切なものをしまう物なので、祖父にとってその歯が大切なのであれば、私たち外野がどうこういうものでもないのでしょう。実際、両親も金庫に歯が入っていることは知っていますが、やはり何も言いませんから。

もし将来、私の歯や髪の毛が抜け落ちてしまった際、私はやはり悲しくなるのでしょうか。そして最後の一本を、大事そうにどこかへ保管するのでしょうか。自分の生きた証?それとも年老いた証?はたまた何かの記念として捉えるのでしょうか。その時が来てみないとなんとも言えないですが、やはりどこか名残惜しく感じる可能性はあります。

私にとって金庫とは、重要な書類や印鑑などをしまっておく物という印象が強かったですが、使い方も大事なものも人それぞれであり、年齢や性別によっても変わってくるものなのかもしれませんね。